ドローン(UAV)を使った当社の取り組み
ドローンとは、無人航空機(unmanned aerial vehicle、UAV)の通称です。
それらには、趣味で使うようなトイ・ドローンから、本格的な輸送を担う業務用のものまで、さまざまな種類があります。
当社では、業務の性格上、小型でありながらプログラムによる飛行が可能で、安全装備の充実した機材を使用しています。
使用機材
DJI MAVIC2 PRO
小型軽量だが、スペックは十分
- DJI PHANTOM4 RTK
測量用高精度ドローン
汎用機にRTK(Real Time Kinematic)モジュールを搭載
センチメートル単位での測位精度があります。
これらの機材は全国でドローン鑑定®(PAT)に取り組んでいる不動産鑑定士が共通して使用している機材で、実績や信頼性に定評があるものです。
1.ドローン(UAV)を使って何ができるか?
国土交通省がICTの活用として進めているi-Constructionは、主に建設現場での取り組みですが、その基礎となっているのが、ドローン(UAV)空撮による3次元データの作成です。それにより、施工精度が向上し、工期の短縮にもつながっています。
関連PDFリンク https://www.mlit.go.jp/common/001149595.pdf
不動産鑑定においても、新しい技術を導入し、品質の高い成果物を作成することが求められています。
これまで、人間の目の高さでしか現地調査ができなかったものが、高さ150mまでのドローン(UAV)空撮により、様々な調査・分析・検証の可能性が広がります。
ドローン(UAV)空撮でできること
- 人間が通常目視できない部分(屋根・建物背後・崖地・林相など)の確認
- 林や採石場、牧場などの広域な物件調査の時間短縮
さらに、写真を重ね合わせることによってオルソ画像や3次元データを作成
これにより
- 建物等の物件の正確な位置の特定
- 複合的な傾斜や高低差の測定
- 盛土・切土の測定
ができ、不動産鑑定評価が更に精緻なものになります。
通常目視できない部分の確認例
重ね図作成例
複合的な測定例
横断線をもつ断面
断面名: | Profile 1 | ||
最低点: | 44.353 m | 断面長さ: | 53.818 m |
最高点: | 48.875 m | XZ_スケール比: | 1:1 |
縦断面–交点の座標 | X | Y |
T1 (Profile 1) | -1****.307 | -1****5.255 |
T2 (Profile 1) | -1****.054 | -1****2.735 |
横断面–交点の座標 | Xを開始 | Yを開始 | Xを終了 | Yを終了 |
Profile 1 (距離 0.00) | -1****.825 | – 1*****.621 | -1****.789 | – 1*****.890 |
Profile 1 (距離 20.00) | -1****.190 | – 1*****.103 | -1****.155 | – 1*****.372 |
Profile 1 (距離 40.00) | -1****.555 | – 1*****.585 | -1****.520 | – 1*****.855 |
盛土・切土の測定例
体積計算
名前: | 新規体積 | ||
盛土: | 2309.11 m³ | 2Dエリア: | 1238.91 m² |
切土: | 0.02 m³ | 3Dエリア: | 1341.96 m² |
最高点: | 14.34 m | 最低点: | 6.57 m |
一般公開されている航空写真との違い
航空写真のうち、インターネットで一般に公開されている物には
- 地理院地図
- Googlemap
があります。これらは衛星写真などを使ったもので、それなりの精度はあります。
しかし、撮影時期が1年以上前のものがほとんどで、3年前、5年前といったものが当たり前のようにアップロードされています。そのため、周囲に建物が新しく建ったり、逆に解体されて無くなったりしていても、反映されていないことがあります。
ですから、価格時点における評価をする場合には、確認資料としては不十分なものとなります。
また、有料で航空写真を頒布している会社もありますが、安いものではなく、やはり対象不動産を特定して撮影したものではないため、説得力が劣ります。
- 真上からの撮影ではないため、建物の壁が見えます(西側)
- 屋根の材質を特定するのが難しいです。
*画像は2020年現在のスクリーンショットですが、リンク先は変更されている場合があります。
- 元の画像では、屋根の材質のみならず、瓦の1枚1枚を数えることができます。
- 撮影精度を上げれば、屋根瓦の損傷具合や、野菜の種類を見分けることができます。
- 敷地内での撮影となるため、境界付近の画像(側溝など)が歪むことがあります。
2.ドローン鑑定会
当社の不動産鑑定士は「ドローン鑑定会」の会員です。
(会員番号DA007)
ドローン鑑定会とは、ドローン(UAV)を使った鑑定評価を行う不動産鑑定士の集団です。
会員は特許となっている新技術「無人航空機を使用して対象不動産を調査分析する不動産鑑定評価システム※」を利用することができます。
そして会員は、北海道から九州までの各地にいるため、ドローン鑑定®(PAT)は、日本全国で行うことが可能です(但し空港周辺、都市部や国の重要な施設、外国公館付近などの飛行禁止区域は除きます)。
不動産鑑定業務におけるドローンの使用はまだ始まったばかりですが、これらの鑑定士の経験や知識を共有することにより、知見の蓄積をしています。
そのために、定例ミーティングの他、日々の情報交換が行われています。
※「ドローン鑑定」は特許(第6726831号)及び商標登録がなされており、承認を得ていないものは、その技術・名称を使用することができません。
依頼前に必ずご確認ください。
リンク先:不動産鑑定ネットワークサービス(株) https://www.fkns.co.jp/drone/entry-282.html
3.業務としての安全性の担保
令和4年6月から航空法の改正により、ドローン(UAV)やラジコン機等の無人航空機(重量100グラム以上のもの)の航行に当たっては、基本的なルールが義務化されました。
当社では、業務で使用するにあたり、不動産鑑定士が認定機関(JUIDA)の操縦訓練を受け、東京航空局の飛行許可を得ています。
また、万が一に備えて、賠償責任保険(10億円)にも加入しています。