不動産鑑定

不動産鑑定士と分譲業者の値付けの違い

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不動産鑑定士は、評価に当たって不動産鑑定基準というのに基づいています。
鑑定評価においては、その評価額に至った説明をしなければなりません。そしてその理論の説明のために、数値(点数)を使います。数値という事は、整合性が重要になってきます。同じ要因で有れば同じ点数が付く訳です。実際に鑑定評価の作業をする場合には、比準表というのを使って理論的に価格を導いていく事になります。
これは公共団体が道路などの事業用地の買収の時に使われる手法ですが、この他、開発分譲をしたり、区画整理において保留地を売却する場合にも、必ず不動産鑑定評価を元に販売価格を決定しています。
一方、民間の分譲業者といえば、そんなものは関係有りませんから、自分たちの思うように値付けをしています。なにしろ分譲業者は、値付けを間違えば売れ残り、事業が失敗したら大変なことですから、命がけです。値付けについては、マーケット(消費者心理)をよーく分析した総額で勝負してきます。
自分はその両方を経験しているので、その違いを話してみたいと思います。
分譲地は、分譲地内の位置や方位、道路付けで一つ一つ要因が違います。
かつては、不動産鑑定評価も、一つ一つの画地について評価をしたので、精度は高かったのですが、現在はやり方が変わってしまいました。評価するのは一つの標準地だけで、他はその標準地の価格から、個別的要因の補正率だけで導き出す様になりました。
例えば同じ角地でも、南東角地は+10%、南西角地は+8%・・・と比準表の数値を決めたら、全部統一して適用します。また項目も限られているので、自由度が低くなってしまいました。特に、率で考慮すると言うところに悪影響があります。
これは、価格帯が低い分譲地の場合に違いが際立ってきます。特に画一的な評価をした場合の悪い面が出てしまいます。
先ほどの例でいえば、画一的な評価では、標準的な価格を50,000円/㎡とした場合、100㎡の分譲地なら、標準的な土地で5,000,000円ですが、東南角地は+10%の5,500,000円となります。しかし分譲業者は6,000,000円という値付けをするでしょう。率にして+20%という事になります。
率だけ取り出していえば、東南角地だからと言って+20%というのは格差がありすぎじゃないのかということになります。
しかし、総額で50万円しか違わないとなれば、買う人は東南角地を選ぶに決まっています。
でも、100万円違ったら迷うのでは?(100万円では違和感を持つ方もいるかもしれませんが、この総額帯を買う人の所得を考えたら、100万円は大きいのです)
そうなんです。値付けというのは、お客さんがどちらを買ったらいいか迷うくらいが良いんです。条件が良いから高い価格を出すのか、多少条件は悪いけど安い方を選ぶのか、これはお客さんの価値観と懐具合で判断されるところです。しかも、みんな同じように迷う価格ではなく、いくらかずつ価格帯を変えてあげるのです。
マンションの場合なら、2~3階の低層階を狙ってくるお客さんと、上層階を欲しがるお客さんと、最上階しか考えていないというお客さんは、全く筋が違います。
このときも、単純に率で価格を変えていって、1階上がるごとに20万円高くなるのではなく、総額を見ながら徐々に上げていって、例えば3階部分と4階部分の差が20万円でも、4階と5階の差は30万円ある、という設定がうまいやり方だとおもいます。
きちんと売れる値段を付けられるのか、不動産鑑定士の才覚が問われるところです。

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