不動産鑑定

土壌汚染と鑑定評価

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先日の新聞に栃木県内某市の土地取得の話が出ていました。
これによると、市が購入した土地に土壌汚染があって、土の入れ替えなどで相当な追加のお金がかかるという問題が発生しているという事でした。
国・県・市町村などが土地を購入する場合には、一定金額以上になる場合に鑑定評価が必要になるのが通例です。
今回の件についても、鑑定評価をしていると聞いています。
不動産鑑定士であれば、土地相場について大きな間違いをすることは無いと思われます。しかし、不動産というのは個別性が強く、隣同士でも値段が違って来るものです。その個別的な要素の中には、土壌汚染も含まれます。
そして、鑑定評価基準においては、当然土壌汚染についても触れることになっています。
さて、土壌汚染はどうやって調べるのでしょうか?
不動産鑑定士は、土壌汚染調査の専門家では有りません。従って、一般的な資料での確認(具体的には、登記簿で土地の履歴を確認するとか)、現地調査の時に、近隣に土壌汚染の原因となるような工場は無いか気にしたり、対象物件に妙な盛り土があったりしないか、一部だけ草が生えていないところがあったりしないか、目視で確認する程度のことしかできません。
それで土壌汚染があるかないか判断しろと言うのですから、あまりに酷だと言えます。
まあ、だいたいは無いことが多いので、その場合は「調査の結果、有るとは判断できないので、汚染は無いものとして」という条件を付けて評価することとなります。
しかし、その調査の結果、「汚染されている可能性が有る」と判断した場合は困ることになります。
資料で、どんな汚染があるかわかる場合なら良いのですが、わからないケースも往々にしてあるからです。
その場合は、ボーリング(試掘)をしてサンプル調査をするほか有りません。
そこで問題が発生します。費用負担です。
ボーリング調査をするとなると、1箇所だけでも20万円くらいかかります。面積が大きくなればなるほど、調査箇所は増えるわけですから、場合によっては数百万円の調査費用がかかるわけです。つまり鑑定評価報酬の数倍かかってしまうわけです。
評価の依頼者にしてみれば、価格を知りたいだけなのに、大変な費用がかかることになります。ですから、なかなか調査をしたがりません。結局は、土壌汚染の問題は考慮外という前提条件のもとで評価をしてくれ、という依頼になってしまうのです。
不動産鑑定士としては、正確な評価をしたいので、土壌汚染調査はやって欲しいのですが、「やらないで」という依頼であれば、それでやるしかないというのが現実です。
最終的には、売買した時のその問題が顕在化してくるわけですが、責任の所在も曖昧なままです。
問題となった某市の鑑定評価についても、依頼時に「土壌汚染は考慮外」となっていたようです。
今後どうなっていくのか、注視したいと思います。

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