不動産鑑定

相続財産評価 2億円が9百万円に

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相続財産の評価を依頼されました。

山林・原野を税理士さんに評価してもらったら、2億円程度と言われたのですが、どうしても納得いかない。鑑定評価できちんと見て欲しい、という事でした。 現地調査して、出した評価は9百万円を切っていました。

なぜこんな事がおこったのか? そのキーワードは、宅地比準(地目認定)、地形、縄縮み、です。

まず、税理士さんの評価は間違っていません。

対象不動産は、住宅地に隣接する1万㎡を超える山林、原野でした。現況も山林、原野です。この場合、財産評価基準によれば、付近の路線価の価格で評価することになっています。これがいわゆる「宅地比準」というやりかたです。国税庁が定めた基準に則って評価しているのですから、間違いではない、という事になります。それで計算して約2億円。まるまる税金がかかるとすれば、税率は40%ですから、基礎控除を差し引いても6300万円です。

そこで問題となるのが、この取りを宅地並みで評価して良いのかということです。つまり現況の地目認定の話。財産評価基準書には宅地として使えるのかという判断は反映されません。

現況を調べてみると、まず市街化調整区域ではないので、宅地化するための都市計画法上の制限は弱いのですが、分譲地の素地とするためにはあまりに地形が悪かったのです。帯状の土地で、奥行きは広いところでも19m、狭いところでは4mしかありません。これでは道路を作ったら有効宅地はほとんど残らず、まともな家は建ちません。道路を作らずに家を建てても、1戸か2戸しか建たないです。目一杯に利用しても、それだけの価値しかないと言えます。

次に社会資本整備、つまり電気、上下水、ガスです。 電気はどんな場所でも引いてくれますから、それほど問題ではありません。対象不動産がある地域は、ガスは来ていません。まあ、LPガスを使えばいいので、これも問題では無いでしょう。しかし、上下水に関しては、役所に確認したところ「供給エリアでは無い」ということでした。すぐ脇が住宅地ですから、物理的に引き込みは可能なのですが、計画に入っていないのですから、公共の物は使えません。それぞれに井戸を掘って水を汲み、排水は浄化槽経由で浸透桝から排水という事になります。 そういう地域も少なくはないですが、対象不動産周辺で、わざわざそういう土地を買い求める人は極めて少ないと思われます。

そして、法令上の制限がもう一つ。最近話題になっている土砂災害防止法です。

対象不動産は、住宅地の反対側には急傾斜の山が迫っており(対象不動産のうちの山林はその一部)、同法の土砂災害特別警戒区域、いわゆるレッドゾーンに該当していました。

土砂災害防止法については、先頃のブログでも触れたとおりですが、レッドゾーンは規制が多く、宅地化しようとすればかなりのコストがかかります。都心から20km圏の地価が高い場所なら、防災工事をしても宅地化しようというインセンティブは有るかもしれませんが、それでも広島市の被害を考えると、そこに住みたい人はよほどの事情が有るとしか思えません。 近隣の住宅地では宅地が売れ残っている場所ですから、なおさら敢えて宅地化しようという人は居ないと思われます。

これらのことを積み上げていけば、自ずと宅地としての需要は無く、現況の山林、原野としての評価となるわけです。 使い道のない山林原野の価格は、本当に僅かです。

宅地 → 山林・原野 これによって評価は大きく変わりました。

もう一つの大きな要因、縄縮みについては次回。

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